ぽんこつ側の世界〜ポンコツランド〜

自分による自分のための世界。地獄が天国を破滅に追い込もうとする様。

誕生秘話の続き殴り打ち

たしか、Asuraが瀕死の子ウサギを家に連れて帰るところまでは話したような気がする。


このあとの話を今日は殴り打つね。


Asuraは部屋に戻り、子ウサギを暖炉の前に寝かせた。

「どうしましょう…子ウサギには何を食べさせてたら良いのかしら…」


人肌に温めたミルクを少しずつ指に乗せ子ウサギの口元に持っていく。

反応はなく、なかなか飲んでくれない。


「ねえ、あなた、子ウサギが死にそうなの!」

冷静なAsuraが珍しく動揺している。


「こんな小さい身体だ、もう助からないんじゃないか?あまり情を持つんじゃない。お前は悪くないんだから」

Batistaはいつも通り変わらぬ様子。


Asuraは一晩中、子ウサギを見守った。


いつのまにか疲れて寝てしまうAsura。

暖炉から物凄い勢いで熱風が吹く。

その熱風は子ウサギを乗せて円を描く。

不思議なことに熱風は徐々に子ウサギの身体に入って消えていく。


Asuraが目覚めたときには、子ウサギの姿はなかった。

「あれ…?子ウサギは…?」

飼い猫のKuloが駆け寄り、Asuraの靴下をかじる。


「だめよ、そんなイタズラしないの!」

そう言って立ち上がったとき、暖炉のそばに横たわるウサギの耳を生やした赤子が目に入る。


「どういうことなの…!?」

Asuraはしばらく立ちすくむ。


「どうした、大丈夫か?一晩中ここにいたのか?」

BatistaがAsuraの肩に手をやり寄り添う。

が、すぐにどういう状況かを目の当たりにし言葉を失う。



そう、こうして不思議に不思議を重ねた奇妙な出来事によって誕生した生命体をこの夫妻は育てていくことになるのである。

地獄に晴れは無い

CILUは、リラクゼーション検定試験を終えた。

間違えたところがたくさんあるのでダメかもしれない。

ダメだったらまた受ける。


さ、usha.sとは一体何者なのかを、暴いていこう。


地獄では晴れの日は存在しない。

ずっと雷雲、雷雨である。

19XX年5月9日正午。

突然太陽が昇り、晴天となる。

街中は大騒ぎである。住人たちはこう叫ぶ。

「地獄の破滅だ!!」


街の隅にある豪邸に住む音楽家夫婦が、窓から街を見下ろす。

「ねぇ、あなた。街が混乱しているわ。」

冷静な口調で外を眺めているこの女性はAsura。

地獄で彼女を知らないものはいない。

洗練された美貌と強く艶やかな歌声を持つ、地獄のトップアーティストである。


「ああ、たしかにこんな晴れ間は初めてだ。地獄はどうなってしまったのだろうな。だがしかし騒いでも仕方ない。騒ぐなんてみっともない。」

またさらに冷静且つ厳しい口調でタバコをふかすこの男性はBatista。

彼もまた、有名なバンド『Venstar』のメインボーカリストである。知らないものはいない。


豪邸のチャイムが鳴る。

「誰かしら。」

Asuraが玄関の扉を開けた。

ところが、誰も居ない。

「誰なの。いたずら?迷惑だこと…」


そう言って扉を閉めようとしたときだった。

飼い猫のKuloが飛び出した。

「あらあら、どこにいくの!?戻りなさい!」

Asuraは走って追いかける。


そこには汚れたダンボールが。

恐る恐る中を覗くAsura。


弱った子ウサギが、今にも息途絶えそうな姿でこちらを見つめている。


「!!…大変だわ!」

Asuraは子ウサギを抱き抱えて大急ぎで部屋へ戻った。




と、とりあえずここまでにしよう。笑


この話の続きはまた地獄で語ろうぞ!

CILU、御守りを手にする


CILUはポンコツランドの設立者でありながら、地獄の住人たち憩いの場、「ゆるゆるじごく」でセラピストをしている。揉みほぐしを提供するリラクゼーションサロンである。

usha.sにポンコツランドの経営を任せるようになったのは、ゆるゆるじごくが忙しくなったからだ。


そんなCILUは明日、リラクゼーション検定1級の試験を控えている。

証明写真を撮ったが、顔面は、そう。…言うまでもない。地獄だった。


ゆるゆるじごくに到着したCILU。


自分のロッカーを見ると御守りが穏やかなオーラを放ち、こちらを見つめているではないか。

地獄の住人としては天国の守り人から御守りを受け取るなんて…プライドが…。


ライバルである天国からの優しさを素直に受け取るか、取るまいか。


取った。


ゆるゆるじごくの売り上げが右肩上がりになるよう、気を引き締めていきたいところだ。


次回、usha.sが何者なのかを少しお話ししたい。usha.sは謎多き生物である。